
伝道<うたおう!仏教讃歌>
@「仏教讃歌」とは?
明治維新の混乱の中から
仏教讃歌とは、声明のような仏教各宗派に伝わる儀式的な音楽とは別に、明治以降日本に入ってきた西洋音楽の方法で作られた仏教の歌をいいます。
明治維新をむかえ国の形から大きく変化した日本では仏教徒をとりまく世間もまた激変し神仏分離令などによる仏教排斥や神道を国教化しようとする政府の動きなどにより大きな打撃をうけつつも、仏教を次の世代へと伝えていくための仏教徒によるさまざまな新しい動きが起こりました。
「讃美歌」
一方日本が開国して欧米からキリスト教の布教活動が本格化します。とくに「讃美歌」のような僧侶と信者が共に合唱する形は浄土宗系以外の仏教宗派にはそれまで無かったものでした。また新政府の国民教育方針で音楽教育も西洋音楽中心で進められていくなかで、小学唱歌などに讃美歌のメロディが多く取り入れられていきます。
「仏教唱歌」のはじまり
仏教讃歌はそのような中で生まれてきました。国内では各地の仏教系の学校や寺院などで婦人や青少年向けのお講や日曜学校などの活動が盛んになり、また海外での教化活動も活発になるにつれて、その教材となる「仏教唱歌」が盛んに作られ、歌集の発表などによって国内外に広まり歌われるようになります。 初めは文学的な知識や感性を備えた仏教者による歌詞を日本古来の道歌や雅楽のメロディに乗せたものから始まり、そのうち西洋で音楽を学んだ音楽家や仏教的素養を持つ文学者たちによる作品が各仏教教団に積極的に取り入れられるようになり、合唱団のための合唱曲や幼児向けの仏教童謡、交響曲やオペラなどさまざまな仏教讃歌が生まれました。
歌い継ぎ、作られる仏教讃歌
明治から始まり大正時代に盛んになった仏教讃歌は、戦前の日本の右傾化や思想統一の流れによりその自由な活動が制限され敗戦後再び元のような隆盛を取り戻すことは出来ていません。しかし仏教讃歌は今も多くの仏教徒によって大切に歌い継がれており、今もなおその歌を歌い、聞く私たちの心を揺さぶる力を持っています。そしてさらに新しい仏教讃歌は今も数多く作られ続けているのです。
※参考文献
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「仏教音楽辞典」 天納傳中・岩田宗一・播磨照浩・飛鳥寛栗 編・著
「仏教讃歌」T・U 東本願寺出版部
「仏教音楽の招待」 飛鳥寛栗 本願寺出版社
「それは仏教唱歌から始まった―戦前仏教洋楽事情―」飛鳥寛栗 樹心社